ばかだとおもった。
無謀かもしれないとおもった。
でも、珍しく後先考えずに突っ走った自分をほめたい。
最高の舞台でした。
Le tour du monde en 80 minutes at Montpellier 5/11/08
今まで見た中で、一番好きな作品になったかもしれない。
ベジャールが、最期に残してくれたのは愛に満ちあふれた世界でした。
彼のバレエ団は、指先までが、文字どおり、「語る」。
ただし、それだけでは足りない。長い髪の先までも、足音までも、そして影すらも、
彼にとっては人間の一部すなわち芸術であったのでしょうか。
こんなにも、人間の美しさを表現してくれたひとは他にはいない。
舞踊の世界で、台詞をいれるのは特異なことだと思う。
何が悪いのだろうか、と言わんばかりに、踊り手たちは自らの声でも語る。
手を叩き、大声で笑い、愛を叫ぶ。
人間ができるあらゆる手段での表現。
すべてが芸術になりうる。
七色の男性陣が、音楽に合わせて踊っていた。
否、彼らはあの瞬間、音そのものだった。
彼の振り付けでは、音楽にも物語が見えてくる。
弦楽器の掛け合いが、そのままダンサーの動きに反映されて、
まるで恋人同士の会話であるかのように聞こえてくる。
コミカルな衣装も、笑い声も、足音も、光も、影も、すべてが
ベジャールに芸術の息を吹き込まれ、美しく輝いていました。
そして、音楽も。
時折、舞台後方に打楽器の奏者が現れ、かれらも舞台の一部となっていました。
打楽器だけの音楽から、人間の声だけの音楽まで。
歌詞のある音楽も、伝統的なクラシックバレエの定番曲も。
枠組みなんてすべて取っ払ってしまって、それでいてすべて美しく統一されているなんて。
人間が作り出してきたものの、すべてを愛せる気がしました。
ベジャール、貴方にこの歓声が聞こえるだろうか。
こんなにも感動に満ちた空間に、貴方は来てくれたのだろうか。
貴方の作品は、少なくともわたしというちっぽけな人間を、
故郷から遠く離れたモンペリエまで駆り立てた。
何もかもが愛おしくて仕方がない。
そんな気持ちにさせてくれる作品に出会えて、わたしはなんと幸運なんだろう。
ダンサーであり、振付家であり、哲学者でもあったベジャール。
貴方の存在こそが、愛そのものであった気がしてなりません。
貴方が生きた証を、決してなくしてはいけないと強く思う。
どこかでわたしも力になれたなら、それ以上のことはない。
わたしには舞台はいらない。でも、どうか光を与えてください。
人間として生まれたことをこんなにも幸せに思えるこの気持ちが消えてしまわぬよう。
貴方が最後に残してくれたものが、貴方が見てきた世界が、こんなにも愛しいものだったなんて。
もう泣きません。
でも、この気持ちだけは一生忘れたくない。
愚かな部分も醜い部分もたくさん持っているのが人間。
だけど、こんなにも美しい愛しい存在なのだということを忘れてはいけない。
ベジャールの舞台を見るたびに、そういわれている気がしてならない。
忘れないために。
in london | trackback(0) | comment(0) |
07/11/2008 00:33:32
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